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教育論

「龍馬が消える」について塾講師が考える

投稿日:

文部科学省が高校日本史の教科書の改革案を提案し、
坂本龍馬・上杉謙信…などが歴史の教科書から
姿を消す、ということが話題になっています。

中学生対象の塾講師とはいえ、歴史を指導している私も
大変興味深いニュースでした。

暗記中心の詰め込み教育から脱し、
理解中心の「考える力」を育むための改革ですが、
賛否両論飛び交っています。

実際に龍馬や謙信が教科書から消えることについての
私見や、実際の影響についてお話ししようかと思います。

1.「歴史の流れに重きを置く」ことは間違いない!

よく歴史を勉強しているときに
「なんで昔のことを勉強するの」と聞かれます。

私は「過去の失敗や経験を今に生かすため」と答えます。
歴史を学ぶことは今を学ぶことです。

今生きている世界は歴史によって作られ、
未来によって変えられていきます。

その「未来」を正しい方向に導くために
「過去」を学ぶのです。

「戦争はいけない」という共通認識も
歴史があったからこそ作られた考えということを
忘れてはいけません。

そのためには、人々が「なぜ」そうした歴史を
歩んできたのかを学ばなければなりません。

歴史は「なぜ」を考えなければ意味を持ちません。

そうした理由で、歴史の流れに指導の重きを置き、
人々が「なぜ」そうしたのかを学んでいく方向に
持っていくのは当然の考えだと思います。

今回は、歴史の大きな流れに乗らずして、
教科書に掲載されている、いわば英雄・女傑を
排除していこうというのが今回の提案の本筋です。

そういった理由であれば、吉田松陰や、坂本龍馬が
削除される意味もうなずけます。

2.暗記する単語が多すぎる?

現在、高校の日本史で覚えなければならない単語、
つまり大学入試で出題される可能性のある単語が、
約3500語あると言います。

それを今回の改革で2000語あたりまで精査
していこうというのです。

確かに3500語は歴史に興味がない子どもには
少々多く感じるかもしれません。
単語を覚えることが中心になって流れを
理解しないという現状も理解できます。

私も塾で、中学生に歴史を教えていますが、
歴史が古ければ古いほど、歴史の流れというのが
捉えづらくなり、授業が語句説明のようになりがちです。

特に中学校の歴史だと、飛鳥や奈良時代は歴史の流れを
教える機会が本当に少なく、語句説明に偏ります。

こうなってしまうと子どもたちは本当に
つまらなそうに授業を聞いています。

しかし、「流れ」に重きをおいて、「なぜ」「どうして」
をしっかり説明しながら授業を進めてあげると、
子どもたちは本当に熱心に授業を聞いてくれます。

テストに出ないから覚える必要はないよ、
という前提で、流れを教えるために、高校日本史に登場する
人物を登場させることもあります。

授業の中で積極的な発言も見られますし、
驚いた声もたくさん飛び交います。

こういった自身の経験から
歴史の流れに重きを置くことは
子どもたちの歴史嫌いを解消する
最良の手段だと思います。

3.人物を減らして弊害はないのか

もちろん何事もデメリットなしでは物事を考えられません。
人物を減らすことでデメリットはないのでしょうか。

大学入試という点では、デメリットはないと思います。

入試科目としての歴史の好き嫌いは基本的に
暗記の好き嫌いで分かれると思います。

暗記が得意なら、歴史が好き、
暗記が苦手なら、歴史が嫌い、といった具合です。

暗記が得意な人も暗記が苦手な人も
覚える単語が少なくなることで
歴史に占めるウェイトが軽くなるという点では
メリットしかないと言えます。

ただし、記述形式や自分で考え、発展させていく問題
が増えてくるため、歴史的事象について
自ら積極的に考えていく力を身に着けていくことが必要になります。

これは教える側の力や、家庭の中で教育が
より重要になってくることを意味します。

受動的に勉強することしかできない子どもに
とってはデメリットであると言えるでしょう。

さらに人物を減らすことは「偶然的」学習の機会が
コチラ[勉強における偶然と必然]の記事に詳しく書いています)
減ってしまうというデメリットがあります。

坂本龍馬にしろ、上杉謙信にしろ、
教科書には一行程度しか登場しません。

しかし、英雄や女傑という点では社会の認識は
変わりありませんので、大人たちはテレビなどで
登場すると「お~、あの龍馬かぁ」と
英雄たちの話で盛り上がります。

観光地などでも縁の英雄たちを
観光資源に変え、歴史の楽しさを伝えます。

子どもは聞いたことがない言葉ですが。
そういった大人たちの興味をしっかりと覚えています。

そんな歴史上の人物が教科書に出てくると
ぐぐ~っと興味を惹かれ、自発的な学習に
つながったのです。

こういった一人ひとりの思い出という
個人に応じた偶然によって生まれる学習の機会が
減ってしまうというデメリットはあります。

歴史好きの私からすれば、とにかく教科書と
資料集にかじりついた高校時代を思い出すと
彼ら英雄が少なくなることは悲しいと
言わざるを得ません(笑)

まとめ

龍馬が消える!は現在はあくまで提案です。
どうなるかということはこれから詳しく議論されていく
ところでしょうが、現実的にあり得る提案だと思います。

やはり歴史が嫌い・苦手だと思う子どもたちに
どうやって歴史を伝えていくかを考えた末の
提案なのでしょう。

これらの決断は分からなくはないですが、
やはり教科書から消すという判断は非常に
心苦しく思ってしまいます。

彼らは歴史の大きな流れに影響は
与えずとも、歴史の大きな流れを
作るために必要不可欠な存在だと
言わざるを得ません。

坂本龍馬という土佐の若者の若さゆえの
アグレッシブな行動があったからこそ、
大政奉還という大きな歴史的な事象が
生まれたのです。

そうした裏方の活躍を教えないというのは
なんとも悲しい気持ちになってしまいますね。

せめて資料集だとか、もしくは国語なんかで
しっかりと伝えることができる内容に
なっていてほしいですね。

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