求人情報誌を開くと何かと目にかかる塾講師の求人、
将来教育職に就きたい!という大学生に人気のアルバイトで
ありながら、一部では極端なブラックバイトと言われています。
実際にブラックバイト根絶のために立ち上げられたNPO法人
ブラックバイトユニオンの中にも、塾講師のアルバイトで
苦しめられたというメンバーがいました。
それらを聞いてしまうと塾講師のアルバイトはちょっとヤバいんじゃ…
と思ってしまうかと思います。
実際のところはどうなのでしょうか。
現在、塾講師として働いている経験と
塾講師のアルバイトの経験を通して、
塾講師というアルバイトについてお話していきます。
1.塾講師の業務内容
塾講師の業務内容は偏に「指導」です。
もちろん基本的には、です。
最も多くを占める業務内容は「指導」なのですが、
その他状況に応じて、採点業務を行ったりすることもあります。
いわゆるほとんどの塾の場合は、これらが業務内容となり
その業務に従事します。
一部これら以外の業務を行う場合に関しては後の章にて
説明していきます。
ですので、私の勤めている塾に勤務しているアルバイト君たちも
指導・採点・塾生の自転車整理が仕事の中心となっています。
私の勤めている塾は集団指導塾ですが、問題演習が非常に多いので、
講師の私と共に演習の際の指導を手伝ってくれているような状態です。
加えて、自習時間の監督等も行ってもらっています。
塾講師のアルバイトの基本業務は「指導」・「採点」が
中心だと思っておいて大丈夫です。
2.ブラックと呼ばれる理由
それでは、なぜ塾講師のアルバイトがブラックだと言われていたのでしょうか。
それは大手個別指導塾などの業務内容が問題となっていました。
大手個別指導塾でのアルバイトも指導が業務の中心でしたが
指導の際に必要となる内容の自習などが業務内容に含まれ、
さらに労働時間分は時給に含まれない、という点が
問題となっていたようです。
さらにその他、生徒の指導内容記録(カルテのようなもの)を
記録する時間や、講師会議、報告会等なにかと拘束される時間が
多いのにも関わらず、時給はコマ分しか支払われていない実態が
あったようです。
加えて、講師が指定できる個別指導塾では、生徒の登塾ペースに合わせて
休日にも出勤を強制されたりすることもあったようで、
大学の試験などに合わせて休むことができず、苦しい思いをしていたとのことです。
確かにこれらの状況ではブラックバイトと言わざるを得ません。
しかし必ずしもすべての塾がこうした職場であるというわけではありません。
労働基準法にのっとり、正しく雇用している塾も多くあることを知っておいてください。
しかし、なぜこのような事態になるのでしょうか。
それは大手個別指導塾ともなると、生徒の成績を向上するためには
かなりの量の連絡を取り合わなければならないからです。
個別指導塾というと、多くが大学生講師です。
いわば指導に関しては素人である大学生が講師として
勤めているのですから、完璧な授業を行えるはずがありません。
そのために、教室に数名いる正講師とアルバイトで
密に連絡を取り合い、生徒に応じたアドバイスを
しなければならないのです。
そうしなければ塾としてのクオリティが保てず、
全体的に成績が上がらない…といった事態になりうるのです。
つまり会議や指導記録のカルテ等は、塾の運営上必要なものなのです。
しかしその業務に携わる際に、給料が発生していなければなりません。
これらが無給で行われている場合は、然るべき対応を取るべきです。
3.たかが教育されど教育…
私たち塾講師にとって非常に悩ましい問題が「予習」です。
正講師であれば、予習すること、勉強することは
自分の知識や指導スキル向上につながり
出世や集客に直結するので問題なく行うことができます。
しかしアルバイトはどうでしょうか。
採用されたはいいものの、実は次に指導する単元の内容は
あまり理解していない…といったときに予習は必要でしょうか。
仕事に対する責任を考えるのであれば、予習は必要でしょう。
しかしそれを強制する権利は、塾側に与えられていません。
これはアルバイト君たちの良心に任せるしかないのです…。
確かに業務時間以外に予習という業務を与え、無給でプライベートを
侵すことは労働基準法に違反するでしょう。
しかし生徒の理解度を高めるためには指導能力向上のためにも
予習してきてほしい…う~ん(頭ガリガリ)
というのが現状です。
予習時間にも時給が発生すれば問題ないのですが、そうなると
人件費が軽くオーバーしてしまいます。
その人件費を賄うために授業料アップっていうわけにもいかない…(頭ガリガリ)
とメビウスの輪状態ですね(笑)
まず私が塾講師のアルバイトを経験してきて言えることは
教育関連の仕事、特に目の前の子どもを相手にする仕事は
仕事といえど、少なからず奉仕の時間が発生するということです。
予習の時間に関してもそうですし、仕事が終わったあと、
子どもたちが話しかけてくることもあります。
授業時間が終わっても質問が止まらない子もいます。
どこか心で「この子の期待に応えたい!」とか「成績を上げたい!」
という気持ちをもって、少しくらいなら…!
と考える余裕や気持ちがないと、どうしてもブラックな側面が
目立ってしまいます。
コンビニのアルバイトなら、就業時間がきたら業務終了、
まれに後任が遅刻して、その分働いても時給は発生する。
それが当然です。
しかし塾講師のアルバイトはほとんどがコマ給制で、
コマ時間以外の給料は支払われないのが現状です。
もちろん塾の方針によっても違うので、一概にそうとは言えません。
ただし、どんな塾でも多少なりともそういった奉仕の時間が
発生してしまうことは理解しておいたほうがよいでしょう。
もちろんそれは長くても30分程度であるべきです。
あまりにも長い場合は、これもまた然るべき対応をすべきでしょう。
4.塾講師として働く際の心構え
これまでに述べたことを踏まえて、塾講師として働く際に
備えておきたい心構えを話しておきます。
まずは、自分の知識を増やしておくことです。
指導レベルを上げることは、自分で勉強するだけでは
難しいですが、知識の量を増やすことは可能です。
これを「予習」ととるか、「自己学習」とるかは
人それぞれですが、強制されずとも
勉強は持続して行いたいものです。
もちろんそれが塾側に強制されるようなことがあってはなりません。
しかしあまりに知識が足りていないにも関わらず
塾講師のアルバイトとして働くことは望ましくないでしょう。
塾でのアルバイトを考える際に「楽さ」と「時給(コマ給)の高さ」だけで
考えてしまうと、思っていた以上に大変…と感じてしまいます。
前述しましたが、教育にはどうしても、ある程度の奉仕は
必要となってきます。
それを受け入れる心構え、身構えはしておくべきでしょう。
次に、ブラックバイトと言わざるを得ない塾に勤めてしまった場合に
然るべき対応を取れるように考えておくことも大切です。
無給での予習の強制、無給での会議・報告会…など
給料を支払わずに労働を強いる塾は間違いなくブラックと言えます。
そういった塾で働いてしまった場合に、泣き寝入りせずに
然るべき機関、労働基準監督署や、NPO法人などに
連絡をして解決をする、という手段をとれるようにしておきましょう。
もしくは被害が大きくならないうちにサッと辞めてしまうことです。
何事も、大きな不満を抱えつつ継続することは、精神衛生上よくありません。
特に教育に夢を描き、志ある若い人たちがそういった大人の悪意で
夢をあきらめてしまうようなことは、あってはなりません。
夢のためにも、間違ったことは間違っていると、正しい判断をするようにしましょう。
ただし、何度も言いますが、奉仕的な部分はどうしてもあります。
30分以内くらいであれば、笑って付き合う、というのも必要な場面も出てきます。
これは塾講師のアルバイトに限らず、家庭教師や、教員に関しても同じです。
奉仕的な部分も含めて「教育」ということを理解しておいてください。
まとめ
塾講師のアルバイトは本当にやりがいのある仕事だと思います。
自分と関わった子どもたちが成長していく姿を感じることができる経験は
塾講師以外にはなかなかないでしょう。
夢をもって勤めるにはとても良い仕事だと思います。
しかしブラックバイト状態の学習塾があるのも事実です。
特に大手の個別指導塾に多いと聞きます。
ブラックバイトの実態をよく理解し、自分も被害者と
ならないように、ブラックと呼ばれる内容・対策方法を
しっかりと理解しておきましょう。
何かあれば、労働監督基準書・NPO法人ブラックユニオンあるいは
当ホームページに相談してくださいね。