どうも、がる先生です。
今年も大阪府公立高校入試が終わり、結果を待っています。
結果は明日、期待と不安が入り混じりますが、
私の教えた内容はしっかりと出題されていたので、
自信はあります。
さて、そんな大阪府公立高校入試ですが
本年度より大きな改革に乗り出しました。
一番のポイントは英語です。
まずはコチラをご覧ください。
大阪府が実施する英語改革の内容です。
従来より、listening/writingの割合を増やし、
さらにreadingの内容を難しくするといったものです。
今までの「ただ読める」英語から
「意思疎通に使える」英語への転換を
目指しています。
今まで「JapanEnglish(ジャパニングリッシュ)」と呼ばれ揶揄されてきた日本式の英語が
ついに本格的なアメリカ式英語へと舵を切り替えようとしているのです。
文面を見れば正しい取り組みのように思えます。
しかし、果たして正しい取り組みなのでしょうか。
私の経験に基づいて考察させていただきます。
1.問題内容考察
まずはコチラが問題内容です。
今年(平成29年度)の入試でもC問題では
同様の形式の問題が出題されました。
Reading&Writing パートは全9題。
大問1・2では、英語の正誤判断・文法判断の問題、
大問3~8ではReadingの問題、
大門9ではWritingの問題という構成です。
Listeningパートの解説から始めます。
まずはコチラから問題用紙をご覧になってください。
大問1・2はToeicの問題にそっくりですね。
二人の短い会話から続くを予想する問題です。
大問3は二人の会話(4~5分程度)を聞き取り、
どちらか一方の意見を整理し、書くというもの。
Writingの力も試されます。
問題内容でも驚きなのですが、さらに驚くべきはその回答時間。
Reading&Writngパートは30分。
Listeningは全25分、そして大問3の回答時間はたったの5分。
すさまじい難易度です。
今までのC問題の難易度より2倍以上難しくなっているように思います。
おそらく英語専門の塾や英会話教室に長らく通っている生徒や
英検2級以上を取得している生徒でやっと満足に解ける問題です。
今までの問題でも学校で習っていない部分が出題されるケースはありました。
しかしその質が違います。
今までは厳密にいうと「習っていない」のではなく、
「同様の問題を解いたことがないだけ」で、問題の本質となる部分は
授業で教えられているはずでした。
しかし、今回は違います。
問題の本質となる部分すらも、おそらく学校の授業では
教えられていないはずです。
というよりも、A・B問題との難易度の差、問題の本質が
違いすぎて、同じ英語の授業として成立させるのは
どんなベテラン講師でも同時進行は至難の業だと考えられるからです。
問題内容を考察すると、そのあたりがよくわかります。
今までの問題は、塾や英会話教室など、外部機関の力を借りずとも
努力でしっかりと補える問題内容でした。
それは授業で行われている内容と同質の出題内容だったからです。
授業をしっかりと聞いて、定期考査に対しての努力を怠らずに
学習を進めていくと、それが入試にもつながっていました。
しかし、この問題は違います。
ハッキリ言って、現状の学校の授業内容・使用教科書から判断しても
外部機関の力を借りることなく満足に理解することは
よほどの天才でもない限り不可能といっても過言ではありません。
そんな入試問題による弊害ももちろんあります。
2.改革による弊害
まずはコチラをご覧ください。
今年(2017年度/平成29年度)の大阪府公立高校入試の倍率です。
そしてコチラ(2016年度/平成28年度)の倍率です。
ついでにコチラ(2015年度/平成27年度)の倍率です。
各高校の倍率をみてみると
北野高校(C問題)
1.83(H27)→1.20(H28)→1.20(H29)
春日丘高校(C問題)
1.61(H27)→1.40(H28)→1.50(H29)
山田高校(B問題)
1.28(H27)→1.29(H28)→1.50(H29)
茨木高校(C問題)
1.43(H27)→1.51(H28)→1.49(H29)
三島高校(C問題)
1.11(H27)→1.23(H28)→1.55(H29)
桜塚高校(英語のみC問題)
1.22(H27)→1.18(H28)→1.18(H29)
あくまで私見ですが、上位高校をあえて避け、安全域で
受験する生徒が多いと考えています。
これがC問題を意識してなのかどうかはわかりませんが、
北野高校はC問題が導入された平成28年度からガクッと
倍率を落としています。
おそらく上位高校受験者が受験校を変え、
その倍率の移動が中堅より少し上の高校に
反映されているのではないかと考えられます。
さらに三島高校や山田高校が倍率をあげていることから
そのように考えるのが妥当かなと思います。
このように受験高校を変えてしまうという弊害があります。
さらに、教育格差の拡大も考えられます。
先ほども述べたように、現状のC問題の指導は困難を極めます。
まずは英語教員の英語力が疑問視されていること
さらにA・B問題との問題の質の違いなどにより、
指導は困難だと考えられます。
実際に生徒に尋ねたところ、私の塾に通っている生徒の
中学校では特に対策等はなかったとのことでした。
最良の方法はC問題用に対策講座や、クラス分けを行い、
それ相応の指導を集中して行うことですが、
公立中学校では教育機会平等の観点より難しいでしょう。
そうなると特に難しいのが、Listeningの授業です。
私自身、教育実習の際に、教育現場を見ましたが、
ハッキリ言ってListeningができる状態ではありませんでした。
Listeningは環境・時間・集中力すべてが必要です。
わずか数名でも授業妨害する者がいれば成立しません。
さらに、本人にやろうという気がなければ英語はただの雑音でしかありません。
全員に効率よく指導、というのがなかなか難しいのです。
このような状況の中で果たしてC問題への改革は
正しい判断だったのでしょうか。
3.英語の学力は上がるのか
やはり問題はココです。
果たして学力は上がるのか。
私の考えでは、答えはイエスでもありノーでもあります。
つまり、一部の上位層の英語力は上がるが
中間層・下位層は現状維持・もしくは英語能力が下がるのではないかと考えられます。
学校の授業のみでは、この問題に対応するのは、困難
というのは前述したとおりです。
ですから、大阪府も高校入試に英語の外部試験の成績を
反映させることを実施しています。
教育の一部を外部に委ねたとみても構わないでしょう。
塾代助成金事業などからもそれがわかります。
現在の高校の構図は
上位校(授業料の安い個人塾や通信教育を受けた生徒・しっかりと努力できた生徒)
中位校(学校で普通に勉強した生徒)
下位校(経済的に豊かでなく、学校の授業についていけなかった生徒)
このような状況ですが、学校の判断により、その構成が変わります。
学力を高めようとし、C問題の授業に合わせれば、
それについてこれなかった生徒は
中位層以下の生徒が増大するでしょう。
あるいは、学力を偏らせることなしに、平等に教育すれば、
中位層の生徒数を増やし、下位層の生徒を減らすことができますが、
上位層や超上位層の生徒は外部機関の協力を借りることができるもの
に限られてくるでしょう。
そうすると学力向上には遅れをとってしまいます。
この二者択一をどう判断していくのでしょうか。
4.改革に対してできること
この改革に対して、外部機関の手を借りずに
できることは、まだ多くありません。
しかし、Listeningに関しては、今からでも対策を打つことが可能です。
Youtubeでも英語の音声はたくさん拾えますし、
動画の中で文字に起こしてくれたいたりするので
スクリプトの確認もできます。
Lsiteningは経験則の部分が大きいので、
時間をかけてじっくりやっていくと
意外にも力になってくれます。
私自身一人でも多くの手助けができればと
このブログを通して対策等をお伝えしていくつもりです。
リンク~更新時に追記していきます~
5.まとめ
英語教育の難しさはよくわかります。
しかし、最も難しいのは、英語ができなくとも
快適に過ごせる日本の環境で、どう英語学習を行っていくか
というところだと思います。
英語先進国である韓国やシンガポールな、タイなどでは、
英語の授業は英語のみで行う、などの取り組みがなされています。
これは現状からよりよくなるためには外国との関係を強化し、
自ら国際社会に立っていくことだ、という大きな目標を
理解しているからこそできるものです。
今の日本に英語が必要な場面は多くありません。
そこが子どもたちの原動力につながらない原因の一つでもあるのでしょう。
しかし、こうした改革で高みを目指すことは悪いことではありません。
公民一体となって、日本の英語力向上に尽力したいという気持ちもあります。
そのために私が少しでも力になれればというところです。
とはいえ、今年の受験生は大変だったろうし、
来年・再来年もまだまだ大変さはあると思います。
今から少しでも早く対策のために動き出すと
まだ気持ち的に楽になるのではないでしょうか。