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教育論

クラブの奴隷になるな!ブラック部活に異を申す!!

更新日:

文武両道。とてもいい言葉です。

勉強も部活も両立させることは、実際はとても難しいのだろうな、と
思っている保護者の方、多いのではないでしょうか。

しかし私はそうは思いません。
勉強しようという意思があれば
必ず実現できる
と考えています。

ではなぜ実現できない子どもが多いのか。
それはクラブ奴隷となっている子どもが
多いからではないでしょうか。

現状の中学校のクラブ活動の中で、
生徒に重い負担を強いているようなクラブを
ブラック部活と言います。

クラブ奴隷とは私の造語です。
それでは、なぜ日本では文武両道が難しく感じ、
かつできない生徒が多いのか、クラブに焦点を置き
私の考えを述べていきます。

1.クラブ奴隷って何?

クラブ奴隷とは、私が勤務する塾の生徒と話していた際に、
たまたま私が発した言葉です。

私の見ていた塾生の一人が
まさにクラブ奴隷だったのです。

その生徒のクラブ活動の内容を説明しますと、
毎日の朝練(7時~8時まで)
放課後の練習(~19時まで)
放課後の練習は試合が近くなると
8時くらいまで行われることもあったそうです。
土日は練習や試合、これらがテスト前だろうがお構いなしに行われます。

そして練習中やミーティングには暴言を浴びせられることもしばしば。

話を聞いてみるとそのような現状が浮き彫りになったのです。

多くの人にこの話をすると
「嫌なら辞めればいいじゃん」と思うかもしれません。

まず第一に理解しておかなければならないのが、
中学生にとって部活は簡単辞められるものではないということです。

その理由の一つが友人関係です。

大人社会であれば、辞めた後、その同僚や上司
と顔を合わすことなんてほとんどないでしょう。

しかし中学校の閉鎖的な社会では、違います。
友人やチームメイトはずっと同じ空間に居続けます

そして厳しい環境から逃れたものは、
「負け犬」のようなレッテルを張られ、
酷く扱われることもあります

もちろん、学校によりますが、
彼のいる学校はそんな学校でした。

さらに、顧問の先生に退部を申し出ると、
面談が行われ、退部を必死に阻止しようとします。

高校入試の際の自己診断書などを
脅しにして退部を引き留めることもあったそうです。

まだまだ精神的に幼い中学生が、友達の間で
居づらくなってしまったり、退部を無理に引き留められるのは
かなり辛いということが想像できます。

たくさんの経験をしてきた社会人とはわけが違うのです。

こんな状態をどう思いますか?

「奴隷」にほかなりません。

さらにクラブ活動の悪い点がもうひとつあります。
それは、生徒に選択権を与えないことです。

彼は塾に通うことでなんとか成績を維持していましたが、
ほかのチームメイトたちは軒並み勉強は諦めているとのことでした。

そんな彼も19時15分開始の授業に
20時30分に顔を出すことも珍しくありません。

顧問の先生に、勉強との両立をするために
「19時前に帰らせてもらえるように交渉できないのか」
と尋ねてみたところ、
「早退するとレギュラーに入れてもらえなくなる」
とのことでした。

もう呆れてものも言えませんでした。

強くするために厳しい練習を重ねているのかと
思えば、レギュラーに入れるかどうかに
「毎日参加している」という基準があるなんて、
どうかしてます。明らかな矛盾です。

もちろん明確な理由なしの早退であれば
この限りではないと思います。

しかし勉強の時間を確保するための早退すらも
認められないなんて馬鹿げているにもほどがあります。

生徒の自立心を育てるための中学校の教育現場で
選択権を奪うというのは許される行為ではないと思います。

そして極めつけは、そのチームメイトのほとんどが
そのクラブに入ったことを後悔しているということです。

陰で顧問のグチを言い、目の前では従うしかない。
そんなクラブに実力なんてあったものではありません。

実際に実績もほぼ皆無
大切な中学校の時期に一体何を
させているのでしょうか。

一体どんな考えが、どんな理想があって
そのようなことをしているのでしょうか。

私には理解できませんでした。

2.親はどこまで口を出すべきなのか

もし子どもがこういった状況であれば
親として声をあげたくもなります。

しかしモンスターペアレントという言葉が
浸透してしまった社会で、声高に発言すれば
「あ、あいつの親モンペだぜ」とも
言われかねません。

言いにくいかと思いますが、やはり私は親である以上、
しっかりと発言すべきであると思います。

もちろん、しばらくの様子見などは必要です。

しっかりとクラブ活動の内容を判断した上で、
顧問の先生と向き合うべきだと考えます。

他にも同じ考えをもつ親御さんがいれば
協力するのがベストです。

そしてもし声をあげようと思っても、
いきなり訴えかけてはいけません。

まずは相手の意見をしっかりとくみ取ることが大切になります。
もしかするとその顧問の先生にも
なにか考えや理想があるのかもしれません。

その理想のために保護者と顧問が二人三脚で
考えていけば、こんなことにはならないのです。

考えてみれば日本の政治だってそうです。

日本の政治は議院内閣制を採用しています。
内閣と国会は、互いに強力しながらも抑制力をもっています。

実際に政治をする内閣が顧問の先生であれば
その行動に異を唱え、権力の暴走を抑制するのが
国会、つまり保護者会と言えるでしょう。

顧問と保護者もそんな関係を築くことができれば、
文武両道ができる体制を作っていけるのではないでしょうか。

そして忘れてはいけないのが
子どもはどう思っているのか」というところです。

先ほどの内閣と国会に当てはめると、子どもは国民、
つまり当事者です。

当事者の気持ちを無視したまま、話が進んでいくのは
望ましくありません。

たとえクラブが厳しくても、子どもが納得していれば
親は口を出すべきではありません。

当事者である子どもの意見を第一に考えなければならない
ということは胸に刻んでおきましょう。

3.何のためのクラブ活動か

子どものためを思うと、クラブ活動は
とても意義のあるものだと思います。

努力・仲間・思い出…全て豊かな人生のために
とても大切なものです。

しかし「勝利」はどうでしょうか。

これに関しては私自身とても悩みます。
中学生のクラブ活動にとって「勝利」は
どこまで重要でしょうか。

クラブチームや私立中学のクラブ活動は
「勝利」を重要視する意味はわかります。

しかし「公立中学校」ではどうでしょうか。
私なりに3つの答えがあります。

①学校選択制

②勝利の効果

③努力の意味
の3点です。

①学校選択制

最近の大阪は学区制度が廃止され、
通学する学校を選択できるようになりました

このため、クラブ活動である程度実績を残しておくと、
クラブ活動に学校選択の重きを置いている生徒にとって
学校を選択しやすくなるからです。

公立中学であっても厳しい環境に身をおき、
スポーツの技能を高めたいという生徒にとっては
実績は分かりやすい目印であり、
大きな意味を持つことになるでしょう。

しかし実際のところは、"家に一番近い"という理由で
学校を選んでいたり、入部したいクラブがその地域では
片手で数えるほどしかしか活動していないといったこともあるようです。

②勝利の効果

勝利で得られる満足感はとても大きいと思います。
子ども自身の自己肯定感や自信にもつながります

自己肯定感は子どもの自立にとって必要不可欠であり、
何事にも積極的に挑戦する子どもになるには
自己肯定感の育成が本当に大切なのです。

それらが得られるということは教育にとって大きな力であり、
勉強ではなかなか得られないことだと思います。

勉強では"勝つ"ということがありませんから、
ある意味、クラブ活動の特権と言えるかもしれません。

このあたりは練習の内容などと比較して
クラブ活動の意義について考えていくときに
クラブ活動を続けていく要素の大きな一つとなるでしょう。

③努力の意味

勉強と運動(クラブ活動)は実はかなり似ていると考えています。
勉強にも、運動にも、どちらも努力は必要不可欠です。

そして基礎トレーニングと応用トレーニングのどちらも必要、
という点も勉強と運動どちらにも当てはまります。

地味な基礎トレーニングですが、毎日努力して
続けていくことは後々大きな財産につながります。

これは英語でいえば、地味な単語トレーニングを
続けていくこと、国語で言えば、一日15分の読書を
習慣づけていくこと…など概要は全く同じです。

地味なことを続けていくことはとても辛く厳しいです。
しかしその大切さは勉強ではとても気付きにくい。
運動を経験した人のほうがそのあたりの理解を
得ているので、勉強にも活きる可能性が大いにあります。

そして応用トレーニングは基礎トレーニングに
基づいて行われるということも大切です。

算数の計算問題を疎かにしたまま、文章問題に
取り組んでしまい、小手先で式は作れたものの、
最後の計算を間違ってしまう。

よく聞く話ですね。

どちらにしても地道な「努力」が必要です。

この「努力」の意味を体感してもらうには
勉強より運動のほうがわかりやすいと思います。

「勝利」という形で、「努力」が実を結ぶことによって
子どもたちに「努力」の意味をより深く感じてもらうことができるのです。

そういった意味では、努力の意味というのは
「勝利」を通じてクラブ活動で得られる財産である
と私は考えます。

しかし「勝利」にこだわりすぎて「クラブ奴隷」を
生んでしまうのは許してはなりません。

4.覚えておきたい大切なこと

一番大切なこと、それは「子どもの気持ち」です。

先ほども少し書きましたが、「子どもの気持ち」は
最優先すべきです。

私はクラブ活動を厳しくすること自体に
異を唱えているのではありません。

子どもたちが苦しんでいる状況に
異を唱えているのです。

たとえクラブ活動が厳しくても、子どもたちが
納得して、積極的に努力していけるような環境であれば

それは理想的なクラブ活動の形だと思います。

「クラブ奴隷」
つまり、意思や意志をなくし、自分たちの気持ちなしに
ただただ顧問にしごかれるだけの子どもたちを
救いたいという想いだけなのです。

親御さん一人ひとりがそれを理解し、
もし子どもが「クラブ奴隷」になっているのであれば
しっかりと顧問の先生と向き合い、改善していくのが
子どもの充実した「今」、そして「将来」のために
大切なことなのだと私は考えています。

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